【壷阪寺】眼病封じで有名な十一面千手観音菩薩とインドの石像が並ぶユニークな境内

お寺と神社

壷阪寺のみどころ

壷阪寺のみどころは、天竺渡来(インド)の石像群やレリーフです。比較的新しいものが多いですが、インド人の石彫師によってつくられた仏像は、なかなか日本ではお目にかからないつくりで、海外の寺院のような雰囲気があります。日本では珍しいお釈迦様の歩みや軌跡を知るレリーフは、改めてお釈迦様とは?仏教とは?を紐解くきっかけになるでしょう。

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春は山吹やサクラが咲き誇り、華やかな境内が楽しめます。ひなまつりの前後には大雛曼荼羅が公開され、さまざまなおひなさまが集合します。ほかの寺院に比べユニークな要素が多く、親しみやすいお寺ではないでしょうか?

壷阪寺(南法華寺)

壺阪寺は眼病封じの寺として有名で、目の観音様として古来より篤く信仰されてきた観音霊場です。正式名称は「南法華寺」といい、壷阪寺は呼称とされています。長谷寺とともに観音霊場として古くから栄えた南法華寺は、平安時代に貴族の参詣が多かったといわれています。壷阪寺が南法華寺とされたのに対し、京都の清水寺は「北法華寺」とよばれました。明治以降には人形浄瑠璃「壺坂霊験記」によって、全国的に壺阪寺の名前が知れ渡っています。

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山の斜面に沿って境内が広がっており、境内に大きな観音像がいくつもあり、インド式の仏像や御堂・レリーフが並んでおり、ほかではなかなか見られないタイプのお寺です。境内の山吹とサクラが有名で見頃になると、大仏と季節の花々とのコラボレーションが楽しめます。壺阪寺の本尊は十一面千手観音菩薩像で、仏像ファン必見の有名な仏像です。

壺阪寺のはじまり

壷阪寺は703年(大宝3年)に元興寺の僧・弁基上人によって創建されました。弁基上人は愛用の水晶の壺を坂の庵に納め、観音像を祀ったことからが壺阪山南法華寺の寺号の由来といわれています。

寺号は朝廷から賜り、長谷寺とともに定額寺(奈良・平安時代に官大寺・国分寺に次ぐ寺格を有した仏教寺院)に列せられ、朝廷や貴族とのかかわりが深い寺院でした。

平安時代には貴族の参拝が盛んで、枕草子や藤原道長の参詣などが記録に残っています。中世の壷阪寺は衰退の時期が続きましたが、近世になると本多氏が高取城主となり明治まで庇護されました。

西国三十三カ所霊場 第六番札所

壷阪寺は西国三十三カ所観音霊場の第6番札所です。本尊は十一面観音菩薩像で、いつでも拝観可能です。古くから長谷寺とともに観音信仰が篤く、眼病に霊験のある観音さまとして知られています。本堂内には、眼病封じ祈願の絵馬が並び、全国から篤く信仰されていることが分かります。

西国三十三所霊場 第六番札所 真言宗 壺阪山  南法華寺
ご本尊:十一面千手観音菩薩
ご詠歌:いはをたて みづをたたへて つぼさかの にはのいさごも じゃうどなるらん

壷阪寺の境内

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壺阪寺の境内は山の斜面に沿って広がっています。壷阪寺はインドでハンセン病患者の救済支援を行っており、インドとの興隆が深いため、境内にはインド(天竺)渡来のさまざまな石像やレリーフが楽しめます。境内の建物や仏像などは比較的新しい年代に建てられていますが、ほかの寺院では見られないものが多く見応えがあります。

礼堂・本堂

壺阪寺の本堂は礼堂からつながっており、八角の形をした円堂になっています。八角円堂は、興福寺の北円堂や法隆寺の夢殿に代表される八角形の御堂のなかで、もっとも古く建立されたという説もあります。

礼堂は昭和の大修理の際に発掘や調査に基づいて、室町時代当時の姿に復元されました。八角円堂の外廊から眺める奈良の山々の景色が美しく、心地よい風が感じられます。

三重塔

三重塔は1497年(明応6年)に再建されており、壷阪寺境内の建築物や造形のなかでは古くからあります。高さは一般的な45尺(13.65m)です。2010年には再建以来はじめて初層の開扉が行われました。

天竺渡来 大釈迦如来石像群

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壺阪寺の境内には、さまざまな釈迦如来の石造があります。境内のあちこちに安置されている石像群は、1983年(昭和58年)から2007年(平成19年)にかけてインドから寄進されました。

壷阪寺は昭和40年よりインドでのハンセン病患者の救済活動に支援をしており、インド各地において奨学金・学校運営・公衆衛生・地域開発などに取り組んでいます。インドとの国際交流のご縁で、次々に仏像が寄進されています。

はじめに招来した仏像は山間部に佇む高さ約20mの大観音立像です。壷阪寺の石像群のなかで、もっとも大きく遠くから観ても迫力があります。平成19年にインドから渡来した坐像は身丈10mの石像で、世界中の痛んだ心を癒すためにつくられました。

眼鏡供養観音は、毎年10月18日にめがね供養法要が行われます。目の弱い人たちにとって必要不可欠なめがねを感謝の気持ちで奉納供養されます。

天竺渡来 大石堂(納骨永代供養堂)

境内にあるひと際目立つ石造りの御堂がインドから渡来した大石堂です。インド・アジャンタ石窟寺院をイメージした建築で、内部は納骨永代供養堂になっています。日本では珍しいインドの様式で、石造りの釈迦如来像が壁一面に彫られており、厳かな空間です。

仏伝図レリーフ(釈迦一代記)

礼堂の正面の壁面には石のレリーフが彫刻されています。釈迦の一生が描かれており、誕生から涅槃までの歩みが学べます。レリーフは南インド、カルナタカ州カルカラで約5万7000人の石彫師の手によって、製作されました。お釈迦様の軌跡がわかりやすく表現されています。

壷阪寺の芸術

十一面千手観音菩薩像

壺阪寺は古くから観音信仰が篤い寺院として人気があり、本尊・十一面千手観音菩薩像が有名です。樫の寄木造で室町時代に製作されました。目を開いたふくよかな顔立ちと美しい彩色が残り、大陸系の仏像の印象です。

腕が四十二手ありさまざまな法具を持っています。正面に向かって、右手に赤い球を持った手が眼を救うといわれているそうです。すべての手に眼があり、衆生の苦しみを救ってくださるとされています。

壺阪寺の催し

大雛曼荼羅公開

毎年ひなまつりの直前から3月末日にかけて行われる催しで、ひな人形の展示イベントです。2020年には過去最高の2500体のひな人形が本堂と大講堂に飾られました。本堂で3面をひな人形が埋め尽くし、圧巻の眺めです。

ひな人形をよくみてみると、楽器の違う五人囃子や酒盛りをする仕丁(してい)などの変わり雛が複数存在しており、宝さがしのように楽しめます。ユーモアあふれるおひなさまは、この時期しか観ることができないので必見です。

夜桜ライトアップ夜間拝観

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壷阪寺は春のサクラと境内の釈迦如来像とのコラボレーションが人気です。JR東海・うましうるわし奈良キャンペーンでも紹介され、サクラの時期だけの美しい光景が観られます。夜間拝観は春季のサクラの開花時期だけに行われる特別イベントとなっています。

秋の眼病封じ祈願会・めがね供養会

眼病封じのお寺として有名な壷阪寺では、毎年10月18日に眼病封じの祈願会とめがね供養会が行われます。めがね供養会では、日頃お世話になっためがねが眼鏡観音菩薩の台座に並べられ、丁寧に供養・祈祷してもらえます。

壷阪寺の情報

寺院名壺阪山 南法華寺(つぼさかさん みなみほっけじ)
住所〒635-0102 奈良県高市郡高取町壷阪3
電話番号0744-52-2016
拝観時間8:30~17:00
拝観料大人(18歳以上):600円 小人(17歳以下):100円 幼児(5歳以下):無料
公式サイト壷阪寺公式サイト
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