東大寺大仏殿のみどころ
東大寺大仏殿のみどころは大仏殿と本尊・廬舎那仏坐像です。はじめて東大寺に行くと、たいてい最初に向かうのが「大仏殿」でしょう。まず最初に「大仏殿」の大きさです。現在も世界最大の木造建築とされる大仏殿は、正面・奥行き・高さが約50mで、ビルの12階建てに匹敵するほどの高さです。
中門をくぐったあとに出現する建物の荘厳さはインパクトが強く驚きます。1260年以上も前に巨大大仏と大仏殿が建立されたことを考えると不思議でなりません。
東大寺大仏殿
東大寺大仏殿は奈良の代表的な観光名所で、東大寺内でもっとも有名な仏殿です。歴史の教科書でおなじみの奈良の大仏が安置されており、多くの観光客が参拝しています。東大寺大仏殿は過去2度の戦火によって焼失しており、現在の建物は1709年(宝永6年)に落慶しました。
現在の大仏殿の大きさは、奥行きと高さは創建当時とほぼ同じで、正面の幅が当時の2/3程度になっているそうです。いずれにしても仏殿がかなり大きいことがわかります。
東大寺大仏殿のはじまり
東大寺大仏殿の創建は758年(天平宝字2年)で、若草山の麓にあった金鐘寺(こんしゅじ)が東大寺の前身とされ、大仏鋳造とともに「東大寺」とよばれるようになりました。
東大寺の大仏造営は、聖武天皇が平城京に都を移したことがきっかけです。大仏鋳造が終了した752年(天平勝宝4年)に建設がはじめられたとされ、世界最大の木造建築はわずか6年で竣工しました。
国力を尽くして行われた大仏造立事業は、民衆の多大な負担によって行われ、財政難や浮浪者・餓死者が後を絶たなかったといわれています。
聖武天皇
聖武天皇は奈良時代に活躍した天皇で、大仏造営や国分寺・国分尼寺を全国に配置したことが有名です。聖武天皇が皇位を継いだ天平年間は、災害や飢饉、疫病が大流行し、多くの災難に見舞われていました。
国難を脱却すべく仏教に厚く帰依し、大仏や国分寺建立・遷都によって国難を治めようと尽力をしましたが、莫大な資金と民衆の負担が強いられ、国政と治安は悪化の一途をたどったとされています。
しかしながら今日までの日本の仏教文化繁栄と奈良の街は、聖武天皇の功績ともいえるでしょう。
東大寺大仏殿の仏像
東大寺大仏殿には、本尊・廬舎那仏坐像をはじめ、脇侍・木造如意輪観音菩薩坐像・虚空蔵菩薩坐像と四天王が安置されています。教科書で見たことがある大仏との対面は心躍るはずです。如意輪観音菩薩と虚空蔵菩薩の飾りや四天王の表情や足元の邪鬼にの注目してみると、さらに仏像鑑賞が楽しめます。
廬舎那仏坐像
東大寺大仏殿の廬舎那仏坐像は東大寺のご本尊で、758年(奈良時代)に造られました。高さ14.7mの巨大な坐像は国宝に指定されています。
大仏は木材や漆喰で骨組みを行い、型に銅を流し込む作業を繰り返しながら造営された銅造で、当時は金で仕上げられました。当時、約260万人の民衆が大仏造像にかかわったとされています。
度重なる戦火や火災により修復されてきた現在の大仏は、頭部は江戸時代、体の大部分が鎌倉時代の補修ですが、一部に奈良時代に造られた部分も残っています。
木造如意輪観音坐像・虚空蔵菩薩坐像
本尊・廬舎那仏を脇侍として支えているのが、如意輪観音菩薩(にょいりんかんのんぼさつ)と虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)です。
左脇侍が如意輪観音、右脇侍が如意輪観音菩薩で、江戸時代に造立されました。廬舎那仏坐像とは対照的に宝冠や飾りが多く煌びやかな菩薩像で、木造の寄木造です。聖武天皇の大仏建立の詔によって、廬舎那仏坐像と同時期に造立されたかどうかは不明です。
四天王像
東大寺大仏殿には四天王像のうち、増長天と広目天が安置され、残り二躰は頭部だけが残っています。元来、四天王は本尊の四方に鎮座し、東西南北の守護神です。それぞれ東方の守護神・持国天、南方の守護神・増長天、西方の守護神・広目天、北方の守護神・多聞天で構成しています。
東大寺の記録によると、四天王像は慶派の仏師によって造立されたようですが、1567年(永禄10年)の松永久秀の乱によって焼失してしまいました。再興後に四天王像の造立をしましたが、持国天と多聞天が未完成のままで完成した頭部のみが残っています。
東大寺大仏殿の境内
東大寺の境内は世界最大の木造建築にふさわしく広々とした境内で、周囲は回廊で囲まれています。境内の中心に国宝・金銅八角灯籠があります。中門をくぐると登場する大仏殿の大きさは圧巻で、はじめて目の当たりにしたときの衝撃が忘れられません。春にはサクラが咲いて、境内を美しく彩ります。
金銅八角灯籠
金銅八角燈籠は、大仏殿の正面にある銅製の灯籠で、日本最古の大きな銅灯籠です。大仏開眼と同時期に造られたとされ、楽器を奏でる天女の彫刻や唐獅子の模様が特徴です。国宝指定されている貴重な灯籠ですが、雨ざらしの外に囲いもなく立っているので、見落としそうになります。
東大寺大仏殿の催し
東大寺大仏殿は定期的に夜間参拝が行われ、昼間とは異なる幻想的な姿が見られます。夜間のイベントとしては、奈良公園や興福寺、春日大社などと合同で行われる夏と冬の風物詩「なら燈花絵」「なら瑠璃絵」の会場のひとつで、通常拝観とはまた違う魅力があります。
近年は映画祭やコンサートの会場にも使われており、大仏殿を最大限に生かした演出は圧巻です。
東大寺大仏殿 万灯供養会
東大寺大仏殿の催しのひとつに万灯供養会があります。盂蘭盆(うらぼん)の最終日・8月15日の夜に、約2500基の灯籠を並べて先祖供養を行うイベントで、お盆に帰省できない人たちのために昭和60年から始まりました。
当日は22時まで拝観できるほか、通常は閉じている大仏殿の観相窓(かんそうまど)が開き、参道からも大仏の顔を拝むことができます。
聖武天皇祭
毎年5月2日には聖武天皇祭が行われ、式衆・稚児による練り行列が行われます。この法要は756年( 天平勝宝 8年)に崩御された聖武天皇の御忌法要で、大仏殿正面では法要・献茶・献花が行われます。法要の際は一般参拝客は中に入れませんが、日頃は公開されていない天皇殿に参拝可能になります。鏡池には水上舞台が設置され、舞楽を自由に鑑賞できます。
なら燈花会となら瑠璃絵
なら燈花会となら瑠璃会は、毎年8月と2月に行われる光のイベントです。なら燈花会は約2万個の灯籠が東大寺をはじめ、春日大社や興福寺、奈良公園に並べられ、やさしい光に包まれた幻想的な奈良が楽しめます。なら瑠璃絵は2月に開催されるイベントで、LEDの青い光やモダンな光のアート展示が行われます。
迫力満点!廬舎那仏と大仏殿
中学生の頃に修学旅行で奈良を訪れたとき、大仏殿の大きさに度肝を抜かれた記憶は未だに忘れることができません。大人になってふと思い出し、東大寺大仏殿を再訪したときに感動がよみがえり、このときから神社仏閣の魅力に取りつかれています。
1260年以上前にこの大きな仏像を造った人々の根気と技術力の高さにいつも驚くばかりで、本当に人間が造ったのかどうかを疑うほどです。私の趣味の原点、何度訪れても飽きません。
東大寺大仏殿の御朱印
東大寺大仏殿の情報
寺院名 | 東大寺大仏殿(とうだいじだいぶつでん) |
住所 | 〒630-8587 奈良県奈良市雑司町406-1 |
電話番号 | 0742-22-5511 |
拝観時間 | 4月~10月 7:30~17:30 11月~3月 8:00~17:00 |
拝観料 | 中学生以上:600円 小学生:300円 ※大仏殿および東大寺ミュージアムセット券もあります。 |
公式サイト | 華厳宗本山東大寺公式サイト |
備考 |
コメント