仏教の原則はシンプル
仏教のもっとも深い教えは「四諦」と「八正道」とよばれるシンプルな原則でまとめられています。これらの学びと実践は世界のもっとも複雑な哲学を複合しており、わかりやすく解説されています。ブッダは彼自身は悟りに到達しましたが、生涯を法を説くために捧げ、世界に学びを残すことを決めました。彼は最初に以前に共に修行をした5人の旧友に法を説きます。この説法によって5人旧友は感銘を受け弟子入りしました。これが仏教がはじめて宗教として成立したことを指し、この説法は「初転法輪」とよばれています。
四諦(したい)とは仏教を要約する4つの真理
ブッダの最初の説法はインド北部のバラナシで「四諦」の教義について解釈しました。
Life is suffering.
Suffering is caused by selfish craving.
Selfish craving can be overcome.
Follow the Eightfold Noble Path.人生は苦しみです。
The Book of Zen The Path to Inner Peace / Eric Chaline
苦しみは自己の欲が原因です。
自己の欲は乗り越えることができます。
八正道に従いましょう。
この短い原理は仏教哲学を要約している4つの真理です。この世界は無常であり、いくつかの喜びもありますが、それも過ぎ去っていきます。この一過性の世は苦しみを導きます。わたしたちの苦しみは病気や死・飢えのような外面的な要因だけでなく、物質的および身体的な幸福を追求する私たち自身の内面によっても引き起こされます。わたしたちは自我と個性の塊も持っており、欲に捉われ失望した時に痛みや悲痛をもたらしますが、この4つの真理は人間の真理です。
詳しく解説をすると以下のようになります。
苦諦(くたい):この世は苦がつきもの(四苦八苦)であり、自分の思い通りにすることはできません。現状を理解しましょう。
https://www.kichijyoin.jp/column/faq/faq-21-5.html
集諦(しゅうたい):苦しみの原因は人が持つ果てしない欲望や煩悩です。苦しみを原因を見定めましょう。
滅諦(めったい):欲望や煩悩をコントロールすると苦しみから解放され、悟りが開かれます。苦しみから解放するために目標を定めましょう。
道諦(どうたい):正しい方法(八正道)を実践し、悟りの道を拓きましょう。悟りという目標を達成する正しい実践を身につけましょう。
四諦(したい)は人間の真理であり、問題の解決方法そのものです。ビジネスで説かれるPDCAはまさに仏教の四諦であるといえます。
- 苦諦(くたい):現状把握
- 集諦(しゅうたい):原因解明
- 滅諦(めったい):目標設定
- 道諦(どうたい):方法提示
八正道(はっしょうどう)とは生きていくための行動指針
この四諦を乗り越えるためにブッダが提案した行動指針が「八正道」です。
- Correct thought 正見(正しい思考)
- Correct action 正思(正しい行動)
- Correct effort 正業(正しい努力)
- Correct speech 正語(正しい発言)
- Correct livelihood 正命(正しい生活)
- Correct attention 正精進(正しい配慮)
- Correct concentration 正念(正しい集中)
- Correct understanding 正定(正しい理解)
正見(しょうけん)
正見とは適切に物事を判断することです。わたしたちは感情や変化、釣り合い、言葉などの文化的・外的要因によって誤った判断をすることがあります。間違った見方に左右されることなく、正しく公正に物事を判断する力が必要です。
正思(しょうし)
正思とは囚われから離れ、正しく考えることです。わたしたちは常識や過去の経験などを元に物事を捉え、判断します。そこには偏見や先入観、感情というフィルターがあり、正しい考えることができません。物事は無常であり、常に新鮮な出来事が起こります。知識や経験は単なる情報として捉え、正しく考えることが必要です。
正語(しょうご)
正語とは正しい言葉を使うことです。言葉には4つの悪があり、その悪から離れることを指します。
- 妄語(もうご)嘘をつくこと。
- 綺語(ふきご)はお世辞がすぎることや余計なこと。
- 両舌(りょうぜつ)は人の仲を引き裂く悪口。
- 悪口は粗野で乱暴な言葉です。
言葉は強い力を持っており、言葉ひとつで自分も相手も傷つけてしまう危険な要素があります。言葉を発するときはよく考え、正しく公正に選ぶことが必要です。
正業(しょうごう)
正業とは正しい生活をすることです。ブッダは殺生や略奪、邪淫などの非人道的行為を禁じています。これらの行為は人間をもっとも苦しみに導き人生を困難なものにさせます。一見他人事と思われがちですが、生き物に対する殺生や借りたものを返さない、節度のない性的関係など、世間にありふれていることばかりです。日頃の生活で少しでも芽があれば改める必要があります。
正命(しょうみょう)
正命とは規則正しい生活を送ることす。不摂生な生活は余計な思考や感情に惑わされず、心身共に健康な生活が実現することが必要です。酒やたばこ、睡眠不足は健康を害し、正しい思考や判断の妨げになります。また栄養バランスを考えた正しい食事は健康的な生活を送るために不可欠です。生活の基本となる「衣・食・住」を見直し、丁寧に暮らすことが必要です。
正精進(しょうしょうじん)
正精進とは正しい努力をし善い行いをするために日々精進することです。習慣はいずれ自分自身の運命を決定づけるものになります。マザーテレサの名言はブッダの教えをわかりやすく表現しています。
思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。
Mother Teresa
言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。
行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。
習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。
性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。
人間は善い行いを日々励むことでよい運命に近づきます。穏やかでより苦しまない人生を送るためには、思考・言葉・行動を見直し習慣化することが必要です。
正念(しょうねん)
正念は邪念を払い正しい自覚をすることです。過去や未来を憂うことなく次々に浮かびあがる思考に惑わされることなく、今現在起こっていることに注意を向け集中します。現在の自分自身を正しく理解することを指し、仏教では坐禅や瞑想によって実践できるとされています。近年ではマインドフルネスと呼ばれ、正しい意思決定や集中力の向上、生活改善に効果があるとされています。
正定(しょうじょう)
正定とはこれまでの7つの行動指針の実践によって到達する正しい精神統一状態のことです。悟りの境地とされ「無常・苦・無我」の智慧に辿り着き、正しい智慧が身に備わるものとされています。これは物質的な欲望に打ち勝ち清浄な境地に入ることで、正しい瞑想による実践が必要です。
仏教徒のとりどころ・三宝帰依(さんぽうきえ)
八正道は「すべての極端なふるまいを取り除くための中道」として知られています。この教えは正しい発言(噂を広めない、嘘をつかない)と正しい暮らし(他の暮らしに危害を加えないこと)をするための行動指針です。この教えには学びと瞑想だけでなく、悟りの探求への道も含まれています。最後にブッダは5人の弟子に仏教徒の大切なよりどころとして「三宝帰依」を命じました。
The Buddha;
The Dhama, the teachings of the Buddha;
The Sangha, the community of believers.仏よ
The Book of Zen The Path to Inner Peace / Eric Chaline
法は仏の教え
僧団は信者のコミュニティー
I初期の仏教では僧団に任命された僧と尼僧だけが悟りに到達できるとされていましたが、その後の禅を含む仏教の解釈では、現世で平信徒でも悟りに到達することができるとされいています。
【参考WEBサイト】
https://gakuen.koka.ac.jp/archives/565
https://www.kichijyoin.jp/column/faq/faq-21-5.html
http://cyberbaba.blog57.fc2.com/blog-entry-151.html
https://temple.nichiren.or.jp/0011019-honkyuji/2012/06/id95/
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