青岸渡寺のみどころ
青岸渡寺のみどころは三重塔と那智の滝のコラボレーションです。和歌山や熊野古道の観光パンフレットなどによく登場する風景で、朱塗りの三重塔と勢いよく流れ落ちる滝の美しさは圧巻です。さらに薄く霧がかかった景色が幻想的で、日本の伝統のすばらしさを再確認できます。
観光パンフレットや雑誌に載っているベストアングルで写真撮影を試みましたが、どうやら一般参拝客は立ち入り禁止区域の青岸渡寺の信徒会館の外廊下がベストポジションのようでした。境内の眺望スポットからカメラのレンズを覗いてみると、三重塔と滝に距離があり、下の方に別の建物が映り込んでしまいます。滝が流れる豪快な音も聞こえるので、肉眼でじっくりと目に焼き残すのがいいかもしれません。
青岸渡寺の本堂は大きく立派な御堂で、すこし枯れたような雰囲気が古刹らしさを感じます。西国三十三所観音霊場巡りの第一番札所のため、本堂内の社務所には三十三所巡りにまつわるさまざまなグッズや関連商品が販売されています。
那智山 青岸渡寺
青岸渡寺は「紀伊山地の霊場めぐり」の一部として2004年に世界遺産登録されています。熊野古道の定番観光名所・那智の滝や那智大社と隣接しており、和歌山有数の名所です。那智の滝と三重塔の風景が有名で日本の美しい風景が見られることで世界中から人気があります。
青岸渡寺は西国三十三所観音霊場第一番札所であり、巡礼者も多いです。西国三十三所観音霊場の開基・花山法皇が3年間参籠し、第一番札所に指定したとされています。
青岸渡寺のはじまり
青岸渡寺は古墳時代の4世紀(仁徳天皇期)に天竺(インド)からやってきた僧によって開基され、那智の滝壺から出てきた如意輪観音像を安置したことがはじまりとされています。その後推古天皇の勅願寺とされ、如意輪堂や伽藍が建立されたと伝承がありますが、正しい創建時期はハッキリしていません。
那智の滝を中心とした区域は早い時期から自然信仰の場として崇められ、熊野三山信仰として貴族や朝廷に広まったのは平安時代中期以降と考えられています。中世から近世にかけては那智大社と共に那智山熊野権現と呼ばれ、神仏習合の修験道場として如意輪堂と呼ばれていました。
明治時代の廃仏毀釈により仏具や仏像は補陀落山寺に移され、空堂となった時期があります。1874年(明治7年)に熊野那智大社から独立し、現在の「青岸渡寺」と名付けられました。
熊野詣(くまのもうで)
熊野詣とは熊野三山(本宮・新宮・那智)を参詣する巡礼で、平安時代の院政期から鎌倉時代に盛んに行われ、歴代の上皇が熊野御幸(くまのごこう)を何度も行ったことで、日本中に知られるようになりました。熊野詣は難航苦行の連続で苦行の果てに悟りや霊験を知りえる旅とされ、神仏は一体化した「熊野権現」は現在も多くの人々の篤い信仰を集めています。
熊野信仰は道案内を修験者が務め、精神儀礼を務めなければなりません。熊野詣をするには禁葷食(きんくんしょく)を断ち、言葉や行動を慎しみ、心身を清めることを必要とします。禁葷食とは、主に動物性の食材や五葷(ためねぎ、ニラ、にんにく、ねぎ)などの香りが高い食材を指します。
西国三十三所霊場 第1番札所
青岸渡寺は西国三十三所観音霊場の第1番札所で、本尊は如意輪観音菩薩像です。西国三の三所観音霊場めぐりの中興の祖・花山法皇が修行した道場で、青岸渡寺から巡礼をスタートさせたことから第一番札所になっちといわれています。本尊・如意輪観音菩薩像は通常秘仏とされており、年3回(2月節分・4月第1日曜・8月17日)御開帳されます。
西国三十三所観音霊場 第一番札所 青岸渡寺
本尊:如意輪観世音菩薩
ご詠歌:補陀洛や 岸打つ波は 三熊野の 那智のお山に ひびく滝津瀬
青岸渡寺の境内
青岸渡寺は那智の滝と那智大社が隣接しており、青岸渡寺のみの境内はそれほど広くありません。公共交通機関や大型バスを利用する場合は参道から473段の石段をあがります。参道の両脇にはおみやげやさんもあり、門前町を楽しめます。クルマに場合は本堂のすぐ横に駐車場があるので、手月に参拝可能です。
山門(仁王門)
大門は青岸渡寺の参道から石段をあがっていくと見える朱色の山門で、1933年(昭和8年)に再建されました。参道入り口からは徒歩約20分で、473段の石段を上がります。正面には仁王像、裏には狛犬が配置されているのが特徴です。クルマで訪れた際には山門と逆側から入ることになるので、山門を見逃すことになりますので、クルマでの参拝の際には注意しましょう。
本堂
本堂は1590年(天正18年)に豊臣秀吉によって再建されました。入母屋造でこけら葺とよばれる木の薄板を何枚も重ねる工法でつくられています。以前は本尊・如意輪観世音菩薩にちなんで如意輪堂と呼ばれていました。本尊・如意輪観音像は半跏像でふっくらとした顔立ちをしています。
大鰐口
青岸渡寺では本堂にある大鰐口(おおわにくち)が重要文化財に指定されています。鰐口とは仏堂の正面軒先に吊り下げられている仏具の一種で、金鼓や金口ともよばれます。金に太い綱が繋がれているのが一般的に仏殿を参拝する前にたたく鐘のことです。青岸渡寺の大鰐口は大変大きく、約450㎏の重さがあります。本堂の再建の際に豊臣秀吉が寄進したといわれています。
三重塔
三重塔は1972年年(昭和47年)に再建された新しい宝塔で、熊野大権現(熊野詣)のシンボルです。那智の滝とのコラボレーション写真が有名で、風情ある日本の光景が魅力です。三重塔の初層部はカラフルな曼荼羅が埋め尽くしており、独特な仏教世界が広がっています。エレベーターで上層階にあがることもでき、上層階からは那智の滝が見下ろせます。
如法堂(大黒天堂)
大黒天堂とよばれる如法堂は、那智の七福神が祀られている御堂です。七福神の一人・大黒天が本尊で、財運福徳の神様として知られています。
青岸渡寺周辺の有名スポット
青岸渡寺は古くから神仏習合の修験道として崇められており、明治の廃仏毀釈以前は熊野那智大社ち一体化されていましたが、現在は「青岸渡寺」という名称で天台宗寺院として独立しています。青岸渡寺周辺は徒歩で行けるパワースポットが多いのでセットで参拝するのがおすすめです。
那智の滝
ユネスコ世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」のシンボルともいえる有名スポットが那智の滝です。水柱の高さ133m、銚子口13m、滝壺の深さ10mで日本一の落差を誇る名滝です。那智山一帯は修験道の聖地とされ、那智の滝もまた古くから自然信仰の篤い場所です。熊野那智大社の別宮・飛瀧神社の御神体でもあり、滝の飛沫に触れると延命長寿のご利益があるとされています。
熊野那智大社
熊野那智大社は青岸渡寺に隣接しており、朱色の社殿が美しい神社です。熊野三山(熊野本宮大社・熊野速玉大社・熊野那智大社)の一社で、全国4000社ある熊野大社の本社とされています。境内にある摂社・御縣彦社(みあがたひこしゃ)は八咫烏(やたがらす)を祀っています。八咫烏(やらがらす)はサッカー日本代表のエンブレムでお馴染みで、神武天皇が奈良で国を治める前に、熊野から橿原まで道案内をしたことで知られています。
青岸渡寺の情報
寺院名 | 青岸渡寺(せいがんとじ) |
住所 | 〒649-5301 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山8 |
電話番号 | 0735-55-0401 |
拝観時間 | 5:00~16:00 |
拝観料金 | 無料 ※三重塔:300円 |
公式サイト | 熊野三山協議会公式サイト |
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