【浄瑠璃寺】九体の阿弥陀如来像と浄土式庭園が意味する極楽浄土

お寺と神社

浄瑠璃寺のみどころ

出典:写真AC

浄瑠璃寺のみどころは9躰の阿弥陀如来像がずらっと横に並ぶ九体阿弥陀堂の阿弥陀如来像と持国天・増長天です。いずれも国宝指定されており、阿弥陀如来像が9躰並ぶ光景は圧巻です。極楽浄土への段階を表現しているので、事前に九品往生(くぼんおうじょう)のそれぞれの意味を学んでから参拝すると、阿弥陀如来像の意味がよくわかります。季節ごとに秘仏がご開帳されるので、気になる仏像をチェックしてから開扉日に参拝するとよいでしょう。

境内は自然が豊かで四季折々の草木や花が楽しめます。春はあしびやあやめ、夏はかきつばたやききょう、秋は紅葉、冬は水仙が咲きます。浄瑠璃寺の周辺は当尾(とうのお)地区とよばれる石仏群の有名な場所に位置しハイキングコースとしても有名なので、周辺の石仏を鑑賞しながらハイキングコースの一部に取り入れるのもおすすめです。

浄瑠璃寺

浄瑠璃寺は京都府木津川市にある古刹で、本堂に安置されている九体の阿弥陀如来像と月に1度ご開帳される吉祥天像が有名です。浄瑠璃寺は平安時代後期の典型とされる伽藍配置で、極楽浄土をあらわしています。太陽の昇る東方に薬師如来、太陽が沈む西方に阿弥陀如来を安置し、浄瑠璃世界(静寂と清浄)を体感できる世界が広がっています。

浄瑠璃寺のはじまり

浄瑠璃寺は1047年(永承2年)に義明上人と阿知山大夫重頼によって本堂が建立されたと、寺に伝わる「浄瑠璃寺流気事(じょうるりじるきのこと)」に記されています。義明上人は当麻出身、重頼はこの地方の豪族をいわれており、重頼の出資によって建立が実現したようです。1日で屋根の吹き替えが完了したとの史料から、小規模な寺院であったことが推測されます。

詳しい建立に経緯はわかりませんが、末法の世に東方浄土の世界(一切の煩悩や穢れがなく、地獄・畜生・餓鬼の三悪趣もない、仏と菩薩の極楽浄土)を表現していることから、末法思想からの救いの目的であると考えられます。中世から近世にかけては興福寺一乗院の末寺でしたが、明治の廃仏毀釈以降、真言律宗に転じ、奈良・西大寺の末寺となりました。

浄瑠璃寺の境内

浄瑠璃寺の境内は浄土式庭園を採用しており、境内全体が浄土の世界を表現しています。境内の池を中心とし、三重塔がある東岸を「此岸(現世)」、西岸を「彼岸(死後の世界)」とし、西岸には未来仏とされる阿弥陀如来が安置された本堂があります。

九体阿弥陀堂(本堂)

本堂は九体阿弥陀堂とよばれ、西側の本尊である阿弥陀如来像を安置しています。平安時代の院政期11~12世紀に流行した建築様式で、9躰の阿弥陀如来像を安置するために横長に設計されています。当時京都を中心に30以上の九体阿弥陀堂が建立されたといわれていますが、浄瑠璃寺は現存する唯一の御堂です。浄瑠璃寺では西方浄土へ迎えてくれる阿弥陀如来仏を西に向かって拝めるよう配置されているので、阿弥陀如来像は東を向いています。

三重塔

出典:写真AC

三重塔は1172年(治承2年)に京都一条大宮から移築されたもので、初層の壁面が装飾文様で埋められているのが特徴です。多宝塔によくみられる心柱(しんちゅう)がなく、元は仏舎利が収められていたと考えられています。浄瑠璃寺に移築後には、薬師如来像が安置されました。

浄瑠璃寺の芸術

浄瑠璃寺は国宝の九体阿弥陀如来のほか、貴重な仏像が多く安置されていることで知られています。三重塔に安置されている薬師如来など、通常秘仏にされている仏像が多いですが、1年のうちに何度かご開帳される日があるので、ご開帳にあわせて参拝するのがおすすめです。

九体阿弥陀如来

出典:https://www.instagram.com/p/CEbGdanDM9l/

九体阿弥陀如来像は浄瑠璃寺の西側の本尊で、観無量寿経にある「九品往生(くぼんおうじょう)」に則っています。9躰の阿弥陀如来が安置されており、9つの往生の段階をあらわしています。九品往生とは極楽浄土に生まれ変わるときの9つの段階とされ、現世での行いや心がけ、努力などを下品下生(げぼんげしょう)から上品上生(じょうぼんじょうしょう)までに分けられ、迎えにくる仏さまや仏になるまでの期間が段階によって異なるとされています。浄瑠璃寺の阿弥陀如来像は、丈六サイズの中尊が来迎印(下生印)を結び、ほかの8躰が定印(上生印)を結んでいます。

四天王像

平安時代後期の作品とされる四天王像は木造寄木造づくりで、当時を代表する彫刻として国宝に指定されています。全身の勇ましい彩色が特徴で、足元にの邪鬼も珍しい表情です。堂内には四天王のうち、持国天と増長天が拝観できますが、広目天は東京国立博物館、多聞天は京都国立博物館に寄託されています。

薬師如来像

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薬師如来像は東岸にある三重塔の本尊で、東方浄土をあらわす如来です。薬師如来像は、九体阿弥陀より60年前に造られたとされ、浄瑠璃寺のはじめての本尊といわれています。薬師如来は現世の四苦八苦を乗り越えり力をクスリとして与えてくれる仏さまで左手に薬壺を持っています。通常は秘仏とされており、扉が締められていますが、毎月8日・彼岸の中日・正月三が日に開扉されます。晴れの日のみに開扉されるので、天候に注意して参拝するのがおすすめです。

吉祥天女像

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吉祥天女像は浄瑠璃寺を代表する仏像で、五穀豊穣・天下泰平にご利益のある仏さまです。ふくよかな顔立ちと鮮やかな衣が特徴で、豊かさが感じられます。通常は九品阿弥陀仏如来像の向かって左側に安置された厨子に安置されていますが、毎年1月・春季・秋季に特別にご開帳され、奈良の人気仏像です。

浄瑠璃寺の御朱印

浄瑠璃寺の情報

寺院名 浄瑠璃寺(じょうるりじ)
住所 〒619-1135 京都府木津川市加茂町西小札場40
電話番号 0774-76-2390
拝観時間 9:00~17:00(3月~11月)
10:00~16:00(12月~2月)
拝観料 中学生以上:400円
公式サイト 木津川市観光サイト
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