【長谷寺】牡丹・サクラ・もみじが有名な花の御寺

お寺と神社

長谷寺のみどころ

長谷寺のみどころは四季折々の花々です。春は約7,000株の牡丹が咲き誇り、花の御寺の呼称にふさわしい大輪の花が境内を彩ります。サクラや紅葉の時期も人気で、季節によって、さまざまな表情を見せてくれるのが長谷寺の最大の魅力です。

古来より観音霊場として栄えている長谷寺は、本尊の十一面観音菩薩像もみどころです。毎年春季と秋季に特別拝観が実施され、御脚に触れることができます。長谷寺は仏教信者の巡礼地として僧侶の修行道場としての顔を持ち、荘厳で気高い空気が流れる由緒正しき寺院です。

総本山 長谷寺

長谷寺は奈良県桜井市にある真言宗豊山派の総本山です。通称「花の御寺」とされ、四季を通じて美しい花々が境内を彩ることで知られています。奈良県と三重県の境にある初瀬山の中腹にある長谷寺は牡丹の名所で、毎年4月中旬から5月上旬にかけて、牡丹が大輪の花を咲かせます。

長谷寺のはじまり

長谷寺は奈良時代(8世紀前半)創建とされていますが、詳しい時期は不明です。寺伝によると、686年(朱鳥元年)に道明という僧が三重塔を建立し、727年(神亀4年)に徳道が十一面観音像を祀ったことがはじまりとされています。奈良時代に官寺として朝廷の統制下のもとに置かれ、国家的事業の役割も担いました。

平安時代以降には観音信仰が盛んになり、貴族、武士、庶民にも信仰を広めるようになりました。元々は東大寺の末寺として華厳宗であった長谷寺ですが、豊臣秀吉に追われた真言宗門徒が入山したことにより真言宗豊山派が成立し、現在に至っています。

花の御寺

花の御寺として知られる長谷寺は、春のサクラや牡丹をはじめとした花の名所です。

春-サクラ・牡丹

出典:https://www.instagram.com/p/BwtfZx_hQvv/

長谷寺は牡丹の名所として知られており、境内には約150種7,000株の牡丹が植えられ、見頃になると登廊の左右が白やピンク、赤に染まり、見事な大輪を咲かせます。長谷寺の牡丹は1000年以上前に唐の皇妃・馬頭夫人が献木したのがはじまりとされ、それ以来多くの献木により現在の数になったといわれています。

見頃は4月中旬から5月上旬で、期間中は「ぼたんまつり」が開催され見物客でにぎわいます。

4月上旬はサクラの季節です。長谷寺には境内に約1000本のサクラがあり、しだれ桜、山桜、ソメイヨシノ、奈良八重桜、初瀬桜などの種類が鑑賞できます。本坊前のしだれ桜が立派で、きれいなピンクの花を咲かせます。

夏-あじさい・蓮

https://www.instagram.com/p/Bzh3O2DF1I_/

夏に見頃を迎えるのは、あじさいや蓮です。あじさいは山内のあちらこちらに咲いていて、境内をしっとりとしたブルーや紫の色に染め上げます。西洋あじさいや額あじさいが見られます。あじさいの時期を過ぎると、蓮の花が開き始め、大きな花を咲かせます。

秋-紅葉

出典:https://www.instagram.com/p/Bb26lG1l_gO/

秋の長谷寺は紅葉が有名です。初瀬山全体が赤く色づき、紅葉の時期ならではの美しい光景が見られます。本堂の床にうつる床モミジや本堂から見えるあたり一面の紅葉は圧巻です。舞台からは境内を一望でき、舞台からの景色や空気の心地よさは人々の心を癒してくれます。

紅葉の期間中は、本尊・十一面観音菩薩立像が特別公開され、直接御躰に触れることができます。

冬-寒牡丹

12月上旬~1月下旬にかけては冬の牡丹・寒牡丹が花を咲かせます。牡丹の花は藁で丁寧に覆われており、雪の笠のようにも見える藁は、冬の風情を感じられます。山茶花や蝋梅なども咲き始め、冬でも境内散策を楽しめます。

西国三十三カ所 第8番札所

長谷寺は西国三十三カ所観音霊場の第8番札所です。本尊は十一面観音菩薩立像で定期的に一般公開されています。公開期間中は直接触れることもできるので、公開期間中の参拝がおすすめです。

長谷寺は奈良大和四寺巡礼や八十八面観音巡礼、大和七福八宝巡礼など、奈良県内の寺院をめぐる巡礼地になっているので、ほかのお寺とあわせて、寺院めぐりを楽しむとよいでしょう。

西国三十三カ所霊場 第八番札所 真言宗 豊山 長谷寺
ご本尊:十一面観世音菩薩
ご詠歌:いくたびも まゐるこころは はつせでら やまもちかひも ふかきたにがは

長谷寺の境内

長谷寺の境内は本堂の舞台や登廊など、建築物が印象的です。日本の伝統的な寺社建築を間近で見ると、その技術の高さに驚きます。寺社建築のすばらしさに加えて長谷寺は花の御寺の呼称にふさわしく、四季の花々が境内を彩ります。

本堂

長谷寺の本堂は1650年(慶安3年)に落慶した建物で、本尊・十一面観音菩薩坐像が安置されている正堂(しょうどう)と相の間、礼堂から成っています。

礼堂の全面は懸造(かけづくり)が採用されており、眺望のよい舞台のようにつくられています。懸造は高低差が大きな土地に柱や貫によって建物を建てる建築様式で、京都の清水寺が代表的です。

長谷寺の本堂は、徳川家光の寄進によって建てられ、観音信仰の重要な役割を果たした建築物として国宝指定されています。

舞台

長谷寺のみどころのひとつが、本堂の舞台からの眺めです。眼下にはのどかな田舎の風景が広がり、春は境内のサクラ、夏には牡丹、秋には紅葉が楽しめます。爽やかな風にあたりながら眺める四季の景色は圧巻です。

登廊 のぼりろう

仁王門をくぐり境内までは登廊を渡ります。風情ある登廊は1039年(長歴3年)に春日大社の社司であった中臣信清が「子の病気平癒」の御礼に建てたのがはじまりです。108間(195m)、399段の石段を登りきると、国宝の本堂につながります。

399段の石段は上・中・下廊にわかれており、人生の青年期・壮年期・老年期をあらわし、段が徐々に高くなっていくのが特徴です。

見頃になると牡丹の花々が登廊の左右に咲き乱れ、花の御寺と呼ばれる所以を感じられます。

仁王門

仁王門は長谷寺の入り口にあたる南門で、両脇に仁王像と楼上に釈迦三尊十六羅漢像を安置しています。仁王門をくぐり登廊を見上げると、本堂までの道のりと美しい光景に息を吞みます。うつくしい長谷型の灯籠は長谷寺の代名詞です。

五重塔

長谷寺の境内の西方には昭和29年に建てられた五重塔があります。昭和の名塔といわれる五重塔は初瀬山の四季に調和し、季節ごとのさまざなな表情を見せてくれます。サクラや青葉、紅葉に囲まれた五重塔の景色は、長谷寺散策の楽しみのひとつです。

長谷寺の芸術

長谷寺といえば、古来より本尊・十一観音菩薩立像を安置する観音霊場として深く信仰を集めてきました。古い歴史のなかで大切に保管されてきた寺宝は、定期的に特別公開されています。

本尊 十一面観音菩薩立像

出典:https://www.instagram.com/p/BncX5B3Hhk-/

長谷寺の本尊は10mを超える大きな十一面観音菩薩像です。国宝・重要文化財の木造彫刻の中では最大級で、通常の十一面観音菩薩像と持物(じぶつ)が異なり、右手に錫杖(しゃくじょう)を持っています。錫杖は、観音菩薩が自ら人間界に下りて衆生を救済する姿を現しており、通常地蔵菩薩の持物です。錫杖を持つ十一面観音菩薩像は他では見られない珍しい形式で「長谷寺式十一面観音(長谷型観音)」と呼ばれています。

徳川歴代将軍肖像画(掛)軸

長谷寺の寺宝のひとつに徳川歴代将軍肖像画が描かれている掛軸があります。徳川家の肖像画を所蔵するところはいくつもありますが、代々の肖像画が残っていることは珍しいです。長谷寺は徳川家からの庇護を受け、ゆかりが深いことが所以とされています。

長谷寺の催し

出典:https://www.instagram.com/p/BsHv-gTFjjs/

長谷寺は年間を通して多くの法要や催しがあります。法要では真言宗豊山派の声明が執り行われ、僧侶の唱えるうつくしい声色が初瀬山に響き渡ります。声明とは節のある読経のことで、仏教音楽のひとつとされています。

牡丹や紅葉の見頃になるとおまつりが開催され、長谷寺の境内はもちろん門前町もにぎやかになります。

だだおし

出典:https://www.instagram.com/p/B8isHJgFFSx/

だだおしは毎年修二会んの結願(けちがん)として行われる鬼払いの儀式です。1000年以上前から伝わる伝統儀式で、参拝者に「だんだ印」と呼ばれる印を額に押すのが特徴です。儀式の終盤には大きな松明(たいまつ)と三匹の鬼が登場し、迫力があります。

だだおしは毎年2月14日に執り行われ、この時に鬼を退散させるため、節分には「福は内」の掛け声だけとなり、だだおしの日に鬼を外に追い払います。

ぼたんまつり

ぼたんまつりは毎年4月中旬から5月上旬まで、牡丹が見頃の時期に開催されます。同時期に特別拝観や寺宝展が開催されるので、この時期に参拝すると、長谷寺の魅力を余すことなく堪能できます。

もみじまつり

もみじまつりは毎年10月から12月初旬まで行われ、春季同様に特別拝観や寺宝展も同時開催されます。秋季特別拝観の際には十一面観音菩薩立像の御脚に触れ、ご縁を結ぶことができます。その際に配られる「結縁(けちえん)の五色線」は観音様とのご縁の印です。

長谷寺の御朱印

長谷寺の情報

寺院名 長谷寺(はせでら)
住所 〒633-0112 奈良県桜井市初瀬731-1
電話番号 0744-47-7001
拝観時間 8:30〜17:00(4月〜9月)
9:00〜17:00(10月〜11月・3月)
9:00〜16:30(12月〜2月)
拝観料 大人:500円 中・高校生:500円 小学生:250円
障害者手帳提示:250円 ※同伴者1名に限り障害者料金適応
公式サイト 大和國長谷寺公式サイト
備考

コメント

タイトルとURLをコピーしました