【中宮寺】本堂の中心に静かに佇む弥勒菩薩の麗しさ

中宮寺は7世紀前半に隣接している法隆寺と同じ頃に創建されたと推定されます。創建当初は現在地よりも約500m東側に伽藍があり、現在は中宮寺跡史跡公園になっています。開基は聖徳太子で、母の間人皇后のために創建した尼寺です。創建時には四天王寺伽藍が採用されていましたが、平安時代以降に衰退をし、現在は本尊・如意輪観音菩薩像とちいさな御堂のみが残っています。

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鎌倉時代には信如比丘尼（しんにょびくに）によって復興され、『天寿国曼荼羅繍帳』を中宮寺に返還させるほか、お堂の修繕などを行い、中宮寺の復興に努めました。その後も衰退と復興を繰り返し、戦国時代には皇家の住まいされる門跡寺院となり、現在もお墓がある御陵は宮内庁が管理しています。

中宮寺の境内

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中宮寺の境内は本堂・鳩和御殿、表御殿があります。本堂には、創建時から安置されている如意輪観音菩薩像と国宝・天寿国曼荼羅繍帳（てんごくまんだらしゅうちょう）が拝観できます。とてもちいさな御堂でこじんまりとしており、参拝客もそれほど多くなく、じっくりと仏像鑑賞が楽しめます。境内の建築物は比較的新しいものばかりで、鳩和御殿は2010年に落慶しました。境内には石碑のほか、山吹が食されており、春にはあざやかな黄色の花を咲かせます。

本堂

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本堂は1968年に落慶した比較的新しい寺院建築です、旧歌舞伎町を手掛けた建築家・吉田五十六が設計しています。吉田五十六は近代的な数寄屋造りの建築が有名です。中宮寺は寝殿造りで池に囲まれており、天寿国（天国）を彷彿させる優美な建築になっています。

中宮寺の芸術

中宮寺は飛鳥彫刻の最高傑作といわれる本尊・半跏菩薩像が安置されています。奈良の観光ガイドブックや仏像関連の本で特集が組まれる人気仏像です。中宮寺は見学箇所の少ないお寺ですが、本尊・半跏思惟像の鑑賞だけでもみごたえが充分あります。

半跏菩薩像

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半跏菩薩像（如意輪観音菩薩像）は日本の仏像のなかでも美しい仏像として有名です。エジプトのスフィンクス、レオナルド・ダ・ヴィンチのモナリザと並んで、「世界の三つの微笑像」として有名で、東洋美術の「考える像」とも呼ばれています。像高132㎝の木造でクスノキ材を使用した特殊な寄木造りです。

美しい造形から飛鳥彫刻の最高傑作ともいわれ、高い評価を受けています。細いけれど柔らかい女性的なフォルムと美しい表情は何度観ても飽きません。

天寿国曼荼羅繍帳（てんじゅこくまんだらしゅうちょう）

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天寿国曼荼羅繍帳（てんじゅこくまんだらしゅうちょう）は日本最古の刺繍遺品として知られています。染織品は保存が難しいとされていますが、あざやかな彩色と亀甲、丁寧な刺繍は極めて美しく、貴重な芸術作品です。聖徳太子と母・間人皇后の崩御を慎んで、聖徳太子の妃・橘大郎女が多くの采女と制作したとされています。現在、実物は奈良国立博物館に寄託されていて、本堂にはレプリカが飾られています。